銀星亭~Villa d'Etoile en argent~

夏公演 「修学旅行」 を終えて(2)

畑澤聖吾「修学旅行」は、きわめて巧妙な舞台構造を持つ、完成度の高い戯曲である。


せっかくの沖縄修学旅行だというのに、舞台は最初から最後まで宿泊先の旅館(ホテル)の一室である。青い海も、白い砂浜も、そこにはない。
部屋の中で部屋の住人たる女子5人グループが対話を繰り広げる形式で芝居は進む。

修学旅行の夜と言えば、部屋の移動は禁止だったり、夜中に出歩いてはいけないなど、いろいろなルールがあるのが常である。消灯時間だって、本当は決まっている。

しかし、部屋の中だけは先生もめったに入ってこない、生徒だけの世界なのだ。
この中で、生徒たちは恋バナに花を咲かせたり、盛り上がって自由に過ごす。消灯時間だって、明かりが外に漏れなければ大丈夫。遅くまでおしゃべりしていても、声が漏れなければ大丈夫。生徒だけの、治外法権の空間。

ここで巧妙なのは、部屋の出入りが完全にゼロにはならないという点だ。ときどき先生が見回りに来たり、窓を伝って男子が遊びに来たりといった変化がある。
これが物語世界の閉塞性を打破し、物語に躍動感を与えている。
平田オリザのいうところのセミパブリック空間が自然に実現されているのだ。

畑澤はまず、そういった世界、巧妙な舞台装置を用意して見せた。
ここがまず、優れているところである。
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by yoizukisaene | 2015-09-08 16:02 | さえね先生 | Comments(0)
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静岡在住の歌人です。日々詠んだ歌を載せています。
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管理人プロフィール
《生まれも育ちも》
1984年、静岡県富士宮市生。
2006年3月、熊本大学文学部文学科日本語日本文学分野卒業。現在、静岡県在住。
2006年「短歌研究」誌掲載。
2009年「平成万葉集」(読売新聞社)入集。
2012年 歌集「高天原ドロップス」(文芸社)上梓。

《専門と専攻》
専門:日本古典文学(平安朝和歌文学)
専攻:「古今和歌集」とその表現

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弟子 小海碧架
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