銀星亭~Villa d'Etoile en argent~

第五歌集「夢のあとさき」

夢のあとさき       宵月冴音



雪原に踏み入りてゆくそのときのふかぶかとある春までの距離


にごり水朝そのままにとじこめて凍つるおもてをわれ踏み割りぬ


花の木を燃やす匂いは水に似て古い暖炉のカフェルノワール


ゆく人も生まれる人もあればこそ死ぬるそのときまでわれは生く


そういえば一年前も雨だった白と黒とに世界を分けて


しんしんと冷えゆく秋があるとしてそれはキリエにすこし似ている


神在らば寒きを払え病いを払え飢えを払えよわがためでなく



十三夜破滅の予兆をたたえつつ火傷しすぎた地表を冷やせ



十五夜は世界のねむり醒ましつつゆく水の中に落とせ光を



十六夜のゆらり破滅は水底に近づいているひたりひたりと



怒張して命の種を手にこぼすみにくい 性器に だれが した 渇!



月知梅 食べる 大人の せつなさを はんぶんぐらいは わかるきがする


「苦いのが逆にいいんじゃねえか」とてTOKYO BLACK飲みほす親父


つきぬけて空の青さを春とする頬をゆく風まだ寒けれど



ぼくがいつでもネクタイをしてるのは几帳面とかそんなんじゃなくて文句言われなくて楽だからそうしてるんであって、僕はほんとうはだらしのない男なんだ。服のセンスだって悪いからいつもワイシャツを着てる。ワイシャツにネクタイの選び方ならたいてい決まっているから。だがそれでもときどき外す。カフェや電車のガラス戸や窓に映った自分の顔を見ると死んでしまいたくなるから最近は見ない。結局のところぼくはたいしてカッコ良くもないし頭もそんなによくないくせに、虚栄心が強く好色で権威には弱い。名誉欲や権力欲にまみれたスケベでつまんない俗物には違いないんだけど、とそこまで書いたところでスタバの店員が抹茶ティーラテの試作品を持ってきたので、詠める。

この冬も口あたりよきふわふわのラテのカップを愛撫す睦月



老いてのち闇に溶けゆく花の香になお彷徨える 夢のあとさき
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by yoizukisaene | 2008-05-22 13:23 | 今日の歌 | Comments(0)
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静岡在住の歌人です。日々詠んだ歌を載せています。
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管理人プロフィール
《生まれも育ちも》
1984年、静岡県富士宮市生。
2006年3月、熊本大学文学部文学科日本語日本文学分野卒業。現在、静岡県在住。
2006年「短歌研究」誌掲載。
2009年「平成万葉集」(読売新聞社)入集。
2012年 歌集「高天原ドロップス」(文芸社)上梓。

《専門と専攻》
専門:日本古典文学(平安朝和歌文学)
専攻:「古今和歌集」とその表現

《師弟関係》
師事 安永蕗子
弟子 小海碧架
    まみ


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