銀星亭~Villa d'Etoile en argent~

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あの日の月を忘れはしない。(連作16首)


江戸川を越えたあたりで待ってます
いつかまた会うその夕方に



夏色が似合っていたね
だれよりも
夏本番の神保町で



それぞれのまちにそれぞれの朝がある
廃品回収の軽トラなどの



六月はかくも多くの水分を
流し のみこみ 閉じてゆくもの



かくまでもきれいな月と見えるのに
荒れ果てた星という不思議さよ



三千の口付けをして別れたり
おもいで以外
何ものこさず



水無月のおわりのあさにふる雨は
すこしも冷たくなくて

さみしい





次に目がさめた時にはやんでいることを信じて目を閉じましょう



ぬるま湯で流しきれないこの痕はあなたがつけた傷のあとです



悔いるなどまして思わず
わたしには過ぎた幸せだったのでしょう



目をとじて思えば今もあざやかに思い出すから
すこし くるしい



目を閉じてともに信じる

この世には

たしかに
愛があるということ



海底にとどくひかりがあるならば
傷つける人のために注げよ



雲厚み空の彼方は見えねども今夜もきっと星はきらめく



オレンジの灯りを消して眠るとき今日初めてのなみだを流す



いつの日かふたり手をとり駆け出そう
あの約束の夏の海まで
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by yoizukisaene | 2013-06-30 12:21 | 今日の歌 | Comments(0)

まみからの手紙、400通目(まみ)



目を閉じて
ひとりあの歌思い出せば
やさしきあなたが
ほら、すぐ、そこに


さいごまでやさしい人は笑ってた
揺れる青
夏。
(あなたがいない)


水無月や
ひとつ季節が過ぎ去って
夜にまぎれて泣くしかないの






誘われまた会えること願います
あなたを思って眺む十六夜


そのすべて記憶するように触れてゆく
君の素肌の温度たしかに


涙ひとつ見せないあなたのやさしさに
最後のさいごまで甘えてる


かんぺきな悲しみであってはいけないの
僕らをつなぐ歌をうたうよ


さよならとあなたが言った
ほんとうに最後なのだと知る さようなら


またねってきみが手を振る改札は遠く
とおくて
思い出せない







昨日から雨音だけが響いてる夏が来るのに枯れることなく


目を閉じて触ってみればあの人の口の温度を思い出してる


忘れないようにゆっくり落ちてゆく暗くて深い海の底まで







後悔をしていませんか
わたくしは
あなたのことを
愛してました


お互いにおなじくらいのしあわせを分け合えたこと信じていたい


ああ、神様 時間を下さい
涙さえ見せないあなたを抱きしめてたい


思い出せば息することもままならずこのまま沈んで落ちてゆけたら


もうなにを言っても君を傷つけるだけなら針を飲んでしまおう







たくさんの愛を与えてくれた人
運命とかを信じてみたい


薄雲の夕の風吹くこの部屋でたしかに感じる夏の気配を


永遠になった桜の夜がある
迷い込みましょう
手を取り合って


(※詠んだのはすべて まみ)
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by yoizukisaene | 2013-06-29 15:59 | 今日の歌 | Comments(0)

桃色の爪。


桃色の少女のような爪のままボタンはずしていく夏の夜
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by yoizukisaene | 2013-06-16 16:49 | 今日の歌 | Comments(0)

手紙魔まみ、夏の相聞(地上500メートルの風)


その風がすべてをさらっていって今
指先だけにのこされた君 (まみ)


携帯を閉じたところで気が付いた
君の匂いをやどした指に




すこしずつ解かれてゆく糸のよう
この街も部屋もわたし自身も (まみ)


ゆっくりとしかしたしかに変わっていくよまちもあなたも生きているもの


触れられぬものが入っていますのでいまだかばんを開けられぬまま (まみ)


目を閉じて思わば逢えるああこれは
これはあなたの髪のにおいだ


もうすこし甘えることができるならあなたの胸で泣かせてほしい (まみ)


かけるべき言葉も知らず夕暮れの改札くぐる君を残して


無理やりな笑顔で「バイバイ。」
すこしでも傷つけばいいと思って放つ (まみ)


気付いてないふりしなければおそらくは別れることさえできなかったよ


三叉路を曲がったあたりで振り返るどっちに行ってももう戻れない (まみ)




君は泣きぼくもひとりで流すだろう 
いろはすみたいに澄んだなみだを
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by yoizukisaene | 2013-06-11 15:48 | 今日の歌 | Comments(2)

一億年後にまた会うために

確実にあなたのせいだじっとりと夏の湿度がはなれないのは


若いとは煌めくガラス踏みしめてまた歩き出す強さのことだ


真新しいペンキの匂いをさらいつつ風は屋上を吹き抜けてゆく


少しずつ弱冷房車が離れてく
一億年後にまた会うために


三鷹行きの電車を撒いてみたとしてそれはお前の力じゃないよ


めずらしく雨降らないね今回は相合い傘もお休みですね
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by yoizukisaene | 2013-06-10 15:45 | 今日の歌 | Comments(0)

さよなら三月またきて四月(近詠自選88首まとめ)

杏露酒の味だったっけ 初めての女の口の中を思えば


命もて罪つぐなひし人の血は汚れなき血にてあるやあらずや


山道をゆけば小さな生と死を抱きてをりぬ
山道なれど


はるばると歩み来たりて骨となりいま砂として水にかえらな




劫罰は
はかなきことよ
木漏れ日の並木坂ゆく
罪を背負ひて


ぬばたまの闇の厨に水蜜の強き匂ひはにわかに起こる


水鳥は自由に鳴けり
広けしや
空も水面も水底も 青








いざよへし月はいずこに隠れしや蒼きさざなみ立つ湖よ


人肌の心地よきがをよしとする
粘膜的なもの要らずして


婚礼の初夜の花嫁奪い来て人柱にする仕事なんです


車内灯一斉に消える
さっきまで新幹線生きていたのに


松任谷由実のメロディ流れてる週末のバーミヤン
雨はやまない


紺青の空の高さを仰ぐとき
風吹きわたる
彼岸の風が


ごうごうと降り続く雨これやこの世界の終わりに降る雨ならむ





真夜中の干潟につけた足跡は 濡れて乾いて また濡れてゆく


「問題は感触じゃなくて翳りだと思うわけなの。ちょっと、聞いてる?」


木漏れ日の庭にサンダル置いたままウルトラマリンの空を泳ごう


明日未明世界終了ぼくたちのことばあそびもおしまいですね


役割を終えし昨日が消えるとき今日は柔らかく産み落とされる


マンボウが月夜の空を泳ぐとき君のお腹の命を愛す


イエモンの首に茶筒がついていてにわかに愛されたいと思った


音もなくしずもりかへる野辺の秋
小さき声で呼ぶ
君の名を


「ぼくたち」の「たち」には深い意味はない
いまもむかしもひとはひとりで


台風の次の朝なら空は青
ランチパック生チョコ味は最強だと思う


きみはつねに
1㎝浮いて歩いてる
ぼくらの住まうこの世界から


かなわない恋なのだろう
じっと見る
水面の月を乱す波紋を


かえりきて我が手したたる水脈を地に通わせよあたたかき地に


ぼくらはきっと、弥生十日には戻れない。
かえれない、もう。もう、かえらない。


最後の夜 蝉は一晩鳴きとおし朝日の中で透明になる


最強と無敵は違う恋すてふ女子高生はやっぱ無敵だ


陰口、と言ひし少女のくちびるのなまめかしきを今も忘れず


霧の音はかそけく響く秋の野にひとり濡れゆく夕まぐれかな


いくたびも交わり重ねにしことを秋の落ち葉のごとき相聞


少し硬い赤ワイン口の中に入れゆっくりひらいてゆく日曜日


コインパーキングのおっちゃんに貰ったメロンあめ
なめたら意外と酸っぱいこれ


髭男爵のひぐちくんみたいな店員がドア開けるとき、海鳴り
ふいに


タイル張りの道を歩けば、今朝もまた、
順調にゲシュタルト崩壊している


残り香がまとわりついてはなれない 朝の光を浴びてきたのに


君の手の小さきを思ふひとり来て夜の川面に手をひたすとき


やわらかき君の乳房に口づけて眼を閉じるとき夜もこわくない


満月が南中するときこの星のひずみがすべて解放される


いたずらに重ねていった言の葉が明日には天にとどくそうです


ハッカ味のドロップだった
恋文をたしかに焼いてゆく夏の朝


はつはるの大海原を染め上げる春陽の朱を君は知らずや


死者のごとねむる青年ひとりゐてせめてひかりはあまねく注げ


雲厚み もとの空こそ見えねどもこの雪はきっと月からきている


ひとはみな業を背負って生きている
喰ふ 飲む 奪う  
人を愛する


この雪はあの世の雪とは違います
彼岸のものは みな 赤かった


ひさかたの雲の海原かけてゆく君と二人で見た朝の月


日に焼けたポスター見れば第二回さぼてん祭りの告知なりけり


「うちのさぼてん最近落ち着きがないんです」
奥さん、それは春だからです


さぼてんはさぼてん祭りの夢を見る雪降る午後の部屋の窓辺で


さぼてんが夜中に起きて合唱の練習してるの見たことないの?


いいですか、子どもの時はさぼてんの刺も優しいものなのですよ


私たち水がいらない訳じゃない嫌いでもない生き方の問題




美しき字を書く人は美しきままにけむりとなってしまった


関ケ原すっごい雪と通話するその日常語をするどく憎む


コンテナを六十個くらいのせたまま貨物列車が消えていったよ


清浄なものと思っているうちはほんとの雪を知らないのです


カモミールティー飲み終えたなら伸びをして
後期試験の準備しましょう




教室とはかくもひろけき部屋なるや 窓から春の風吹き抜ける


歌はばそのかなしきこともやわらかなかなしみとならむ 
海待つように


どこからか花吹き寄せる交差点いつまで待ってもあなたは来ない


せんぱいの声にちょっぴり似ています 
冬の終わりに降る雨の音は


ふたりして相合い傘で帰った午後の雨の音だけ思い出せない


公園のベンチの熱がにんげんの温度に近付くまで待っている


いつか咲くためにここらで散らせましょう 
桜月夜の見果てぬ夢を


ひとひらの花を抱いて帰ります やがて手のひら合わせる日まで


白い湯気が透明な空気に変わるあたりで君を待ちます午後十一時


忘れ貝打ちも寄せなむあずさゆみ春の浜辺を埋め尽くすまで


雫するその水ほどのたしかさで生きた証をこの世に刻む


蜂蜜をたっぷり含んだ紅茶なら雨降る午後が似合うはずです


ゆっくりとしずかにきみは左手の指輪をはずす 目を合わせずに




この国は今週末で終わるから世界の果てであなたを待つよ




脳髄がとろけるような口付けを教えてあげる 一度だけだよ


あのひとと違うしかたでされている間はずっと絵を見てました


このひとのしかたを忘れないためにからだあずけて瞳をとじる


鳴神のパルスのごとき背徳がわが全身をつらぬいてゆく


夏至の夜に好きな男のネクタイで首をしめたらいけるのかしら




目覚めては雪の曙かと見ゆる庭埋め尽くす花のぬけがら


いつかまたともに十六夜ながめましょう 
現の果てに 
夢の向こうに


流れ星ひとのいのちの果ての火をあつめて燃やしまた消えてゆく


散ることを忘れし花のひとひらが氷まくらにまぎれこみにき


「ひさびさの雨ね」「そうだね」
「おぼえてる?
わたしが人を刺した日のこと」



熟れきったプラム潰してみるくらい
かんたんなのよ
慣れてしまえば


上になるときだけ見せる顔を持つ
あなたのおもみ
離しがたくて


ネクタリンかじる時しも
月さして
世界の秘密はあたしのものだ






夕暮れがゆっくり夜にひたされてさよなら三月また来て四月
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by yoizukisaene | 2013-06-07 16:01 | 今日の歌 | Comments(4)

まみ、少年を目撃。

灰色の雲に抱かれて
少年は
サックスブルーの自転車を漕ぐ (まみ)
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by yoizukisaene | 2013-06-06 12:53 | 今日の歌 | Comments(0)

入梅。


いつもより
存在感のある雨が私を包む
梅雨入りの朝
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by yoizukisaene | 2013-06-05 12:51 | 今日の歌 | Comments(0)

神様神様。


何もかも吸い込んでゆく蒼穹に飛び立つときに神を信じる
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by yoizukisaene | 2013-06-04 09:46 | 今日の歌 | Comments(0)

祭のあと


青空は
純粋な青

かなしみを
溶かしていくの

祭のあとは
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by yoizukisaene | 2013-06-03 10:11 | 今日の歌 | Comments(2)



静岡在住の歌人です。日々詠んだ歌を載せています。
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管理人プロフィール
《生まれも育ちも》
1984年、静岡県富士宮市生。
2006年3月、熊本大学文学部文学科日本語日本文学分野卒業。現在、静岡県在住。
2006年「短歌研究」誌掲載。
2009年「平成万葉集」(読売新聞社)入集。
2012年 歌集「高天原ドロップス」(文芸社)上梓。

《専門と専攻》
専門:日本古典文学(平安朝和歌文学)
専攻:「古今和歌集」とその表現

《師弟関係》
師事 安永蕗子
弟子 小海碧架
    まみ


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