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銀星亭~Villa d'Etoile en argent~

私のかげを返してほしい(連作14首)

あとすこしでことばになれるはずだった何かを今日も葬ってゆく



見なければ幸せだったかもしれぬ空一面のカゲロウの死を



胸ポケに携帯電話を持つ者としては雨とかよくないですね



かげぼしをしてた間に盗まれた私のかげをかえして欲しい



陸橋の下で初めてキスしたときのあなたの唇乾いていたね



花散らす嵐の夜のまぼろしか うつつのわれに残るぬくもり



雨音の強き夜こそ思はるれ かえることなきあの春の日を



きみはぼくをとおくはなれて生きなさい きみによい風が吹きますように



七月の雨が私の上に降り私の何かを隠してくれる



川音の涼しきわけは幾万のひとのたましい溶けているから



ちちははの温かき血が体内に流れしことをするどく憎む



白い空がどうしようもなくこの朝を圧していたり 水の中まで



オレンジの灯りをちゃんと消すために私が生まれてきたといえるかも



雨上がりどこにも花は見えなくて
ぼくは陸橋こえていきます
by yoizukisaene | 2013-07-29 16:45 | 今日の歌
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静岡在住の歌人です。日々詠んだ歌を載せています。

by よいづきさえね
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管理人プロフィール
《生まれも育ちも》
静岡県富士宮市生。
熊本大学文学部卒業。
2006年「短歌研究」誌掲載。
2009年「平成万葉集」(読売新聞社)入集。
2012年 歌集「高天原ドロップス」(文芸社)上梓。

《専門と専攻》
専門:日本古典文学(平安朝和歌文学)
専攻:「古今和歌集」とその表現

《師弟関係》
師事 安永蕗子
弟子 まみ


《著作一覧》
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