題詠blog2014まとめ(1~70首一挙掲載)
001:咲 ねむの木の花が咲いたの見ないままあなたは夏を終えていくのね
002:飲 花冷えの浅間神社で酒を飲む 師匠と弟子とふたり並んで 003:育 確信犯的に育てた君だからもはや摘みとることはできない 004:瓶 地中海の水に百年洗われた瓶のかけらの碧きひかりよ 005:返事 慣れてるんだ、片手で外すなんてと言われ 返事をしないという返事する 006:員 宛先のない恋文を預かってます覚えがあるひと職員室へ 007:快 安曇野に行くはずだった 三人で快気祝いをやるはずだった 008:原 ミッドウェー島のあたりでトビウオを釣ってるはずよ原先生は 009:いずれ いずれまた逢えないことは分かってた相合い傘にふる春の雨 010:倒 まーちゃんが最後に見せた倒立はほんとにきれいだったんだから 011:錆 錆びついた剣を抜きしのちの傷を洗い流してゆくための酒 012:延 あきつしま本土決戦延期します期末試験が優先されます 013:実 禁断の果実たりしかSTAPは人のいのちをのみこんでゆく 014:壇 壇蜜にならないという道もある ならない なれない やっぱならない 015:艶 塗り箸は昼のひかりにきらめきていよよ艶めく春の饗宴 016:捜 一生のおねがいってほどじゃないんだが 下線部Bを捜して欲しい 017:サービス こんにちは戦争代行サービスです 2100年まで予約済みです 018:援 援護射撃!いただきました!弾込めて!突撃します!御国のために! 019:妹 「君は妹みたいだね」ってどういうことか200字以内で説明しなさい!! 020:央 さっきまで君はいたのに中央線快速電車/ドア閉まります 021:折 粉薬包んであった紙で折る箱でお部屋が埋め尽くされた 022:関東 台風は今夜にかけて関東地方へ上陸します 泊めて下さい 023:保 野生動植物保護協会の指示により特殊ガラスで隔離済みです 024:維 別れにはやはり王維だ酌み交わし三唱すべし陽関の詩を 025:がっかり がっかりすることもあるかも知れないがそれでもぼくはきみを守るよ 026:応 王朝の夕陽の色に照り映えて応天門の柱の朱は 027:炎 真っ青な炎の上で踊りなさい そして私にあやまりなさい 028:塗 おざなりに塗り広げるとそのうちになんか消えちゃうときないですか 029:スープ 神様は今日もスープをかきまぜる ウミガメの殻を積み上げながら 030:噴 噴水の頂点(崩れ出すとこ)に神のちからがはたらいている 031:栗 焼き栗がはじける冬の雑踏に純粋な雪を待つパリの街 032:叩 叩いても叩いても扉開かなくて少女はきっと舞姫となる 033:連絡 満月の夜にテヘラン街道でジェーンを見たという連絡ね? 034:由 理由とか聞かなきゃよかった 死ぬまでだましてくれればよかった 035:因 素因数分解について生き生きと語るあなたは美しかった 036:ふわり 初雪がふわり落ちくる曇天を二人で見たね 何も言わずに 037:宴 この花は延喜五年の春の暮れ竟宴で見た花の末裔 038:華 ヒトラーの栄華の跡かベルリンの瓦礫の中のグランドピアノ 039:鮭 そうかこれはやはり鮭ではなかったかそれを鮭って呼んでるだけか 040:跡 跡よりも痕というべきものでした君のすわっていたそのあとは 041:一生 一生に一度本気で好きになる人に出会ってしまったみたい 042:尊 ゆく夏の名残りをすべてひきうけて蝉しぐれゆく中尊寺かな 043:ヤフー プロメテウスの火の燃えかすを拾いあげ手をけがすときヤフーとならむ 044:発 真っ青な空に一条雲はけば始発列車の扉がひらく 045:桑 仏桑花咲く島に行く約束を果たせぬままに老いにけるかも 046:賛 黒髪のツインテール少女保護条例賛成多数で可決しました 047:持 持ち出せぬ禁忌の石は音もなく青白き炎をあげて燃えにき 048:センター かつてここに世界貿易センタービルのありし歴史を誰も忘るな 049:岬 一面に白い綿毛が飛んでいた春の終わりの潮岬は 050:頻 神様に息をかえせば頻繁な出入りもやがて無くなるでしょう 051:たいせつ たいせつにするって言ってくれたのになんでわたしをおいていったの? 052:戒 今宵咲いた報いのあかし首筋に戒めきざむ男を赦す 053:藍 藍ヶ江の水は何より透明できみを抱きしめたいと思った 054:照 照れかくしにビシビシ叩くその癖は三年前とおんなじですね 055:芸術 春の夜の水にいざよふ満月がある芸術家の死を見つめをり 056:余 「デニーズのフレンチトースト食べるときメープルシロップ余るひと」「はい!」 057:県 ふたりして県庁所在地あげていく(最後の一つが思い出せない) 058:惨 惨劇は二度繰り返す夏至の夜木犀館に雨が降るとき 059:畑 「あのこと」の前と後とで変わらずに西瓜は育つ西瓜畑に 060:懲 学校教育法第十一条校長及び教員は懲戒を加えることができます 061:倉 霧雨の濡らす石道ふたりして無言で歩く秋の鎌倉 062:ショー ふた赤きコショーのびんのまわりだけ昭和時代とみてよいだろう 063:院 現世ではきっとかなはぬ夢ならむ 平等院と名付けたる寺 064:妖 妖艶というべき文だ 困ったな 推薦入試が来るというのに 065:砲 40.6センチ砲を覗いたらお偉いさんが入ってた てッ! 066:浸 (甘い乳に二十四時間浸されたフレンチトーストみたいな顔ね) 067:手帳 この風が春告げる頃帰るから手帳に書いておいてください 068:沼 ゆく春の名残の雨か桜花碧き水面の沼をうずめて 069:排 排ガスの色にうっすら染められてガードレールのような僕たち 070:しっとり しっとりとしめった髪に指を入れ目をとじるとき わたしはひとり
by yoizukisaene
| 2014-09-07 15:52
| 題詠blog2014
|
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
管理人プロフィール
《生まれも育ちも》
静岡県富士宮市生。 熊本大学文学部卒業。 2006年「短歌研究」誌掲載。 2009年「平成万葉集」(読売新聞社)入集。 2012年 歌集「高天原ドロップス」(文芸社)上梓。 《専門と専攻》 専門:日本古典文学(平安朝和歌文学) 専攻:「古今和歌集」とその表現 《師弟関係》 師事 安永蕗子 弟子 まみ 《著作一覧》 最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||