「貪欲な雨」全編貪欲な雨 真っ青な天空高く浮かびたる誰も触れるなわが飛行船 桜貝しめりたる浜の中にゐて守り伝えよゆく春の色 白魚の水揚げかくや水無月の夜を横切る貪欲な雨 テングサが足をかすめて夏の海みどりもふかき水底を蹴る 日曜の職員室の静けさにほととぎす鳴く五月は深し 卒然とGoogle画像検索のオキザリス目に飛び込んでくる 暮れなずむ真夏の町のかたすみでおもちゃの兵隊ひそやかに泣く まだすこし硬きところのある枇杷を追いて猫の子ゆく昼下がり 世はなべてムスクブルウに染められて我のみ白き夏の夕暮れ 夕空はつきぬけて青ゆらぎたるけふの地球はやや風強し 蟻塚はいつ消えたのか迷い蟻コンクリートの熱に焼かるる もみじ葉の種はぷくりと膨らみて空に息づく無数のいのち 夏山を行けばかっこうこの道を我は独りで歩むにあらず 麦秋の小道をゆけば日高かりゆらめく夏に背筋を伸ばす この星を削り取らんとするものか果てるを知らぬ六月の雨
by yoizukisaene
| 2007-06-25 10:13
| 今日の歌
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《生まれも育ちも》
静岡県富士宮市生。 熊本大学文学部卒業。 2006年「短歌研究」誌掲載。 2009年「平成万葉集」(読売新聞社)入集。 2012年 歌集「高天原ドロップス」(文芸社)上梓。 《専門と専攻》 専門:日本古典文学(平安朝和歌文学) 専攻:「古今和歌集」とその表現 《師弟関係》 師事 安永蕗子 弟子 まみ 《著作一覧》 最新のトラックバック
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